6/25 「起業工学」設立20周年に向けて 富澤 治
Professor Kano, congratulations on the 20th Anniversary of “Entrepreneurial Engineering”
Let me introduce two things which were impressive for me since I joined KUT in 2003. The first one was a figure which appears in the paper work for application of KUT graduate school establishment. It shows positioning of the entrepreneur engineering course in KUT graduate school. The graduate school was supposed to consist of electronics, civil engineering and other variety of independent engineering courses. Here, “entrepreneur engineering course” was positioned as a common course so that other engineering students can take the course. I believed this structure works effectively to narrow the gap between engineering and business.
The 2nd point was that I had an opportunity to present a paper entitled “Entrepreneur engineering – a new concept of engineering education” at the IEEE International Engineering Management Conference which was held in Canada. This was the first time to announce the entrepreneur engineering concept to the global world.
I hope research and education area of the entrepreneur engineering will diffuse widely.
加納先生、起業工学設立20周年おめでとうございます。2003年高知工科大へ赴任以来加納先生とご一緒に起業工学に関する教育研究に携わせていただきましたがここでは極めて印象に残った2つのことについてだけ紹介させていただきます。
最初のイベントは高知工科大大学院設置の申請書に記載されている起業家コースの位置づけの図を見たときです。技術の変化は社会にインパクトを与え、社会ニーズの変化は技術に影響します。工学に基づいて構築された技術も製品化、事業化され社会に提供されないと意味がありません。この工学と経営の橋渡しとも言える境界領域について過去学界、産業界で多くの議論が行われてきました。アメリカに拠点を置く最大の電子系学会であるIEEEは技術とマネジメントを結びつける重要性を古くから認識しEngineering Management Society(現在はTechnology and Engineering Management Society)というソサエティを設けて活動してきています。1999年に高知工科大学に大学院が設置されましたがこの設置申請の書類には工学とビジネスを橋渡しする起業家コースの位置づけが図のようにクリアに述べられています。すなわち工学系の専門コースに混じって起業家コースが設置されると同時に起業家コースの教育プログラムは工学系の専門コースの学生からも共通に履修できる仕組みを示しています。工科系の大学院でのはじめての試みと思いますが大学院設置時点で社会人教育を含めた起業家コースの意義を示しているものとして印象に残っています。いうまでもなくこの起業家コースの教育の核となるものが起業工学の考え方です。
2番目は先ほど述べたIEEEの国際会議にて起業工学について論文発表を行ったことです。国内の映像情報メディア学会での普及活動は進んでいましたが、海外にアピールする必要を感じ、加納先生と連名でEntrepreneur Engineering – A New concept of Engineering Educationというタイトルの論文をカナダで開催された国際エンジニアリング・マネジメント会議で発表できたことです。以来この学会で出会ったイリノイ大学のブルース・ボジャック先生らとも交流できる機会となりました。これからの起業工学のますますの発展、普及を祈っています。
冨澤 治
高知工科大学名誉教授、IEEE Life Fellow