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3/16 新刊書「ディープ・イノベーション」を読んで 株式会社高純度化学研究所 茂木隆行

「ディ-プイノベ-ション」ワクワクしながら読ませて頂きました。FeRAMの材料を商品化する事に携えて、私の人生で非常に大きな仕事であった事を再認識させて頂きました。

最初に松下さんから共同開発の話を聞かせて頂き、急遽シンメリックス社へ伺い工程を教えて頂き、半導体のLINE化させる為の材料を立ち上げる仕事を、当時上司の小島穣さんと仲間二人と私の4名で取り組んだ事を昨日のように思い出します。

先々代の社長のモット-でもあった、「材料の原点は高純度に有り」との言葉を念頭に置き、BiSrTaの各材料をいかに高純度化させ、しかも安定なプロセスで安価に仕上げる設計に全力で取り組みました。

私が入社しまもなく1982年頃からかMOD(CSD)材料の開発を始めていましたので、FeRAM材料の反応・合成プロセスは比較的なじみ易く、高純度化プロセスと低コスト化にかなり苦労した事を懐かしく思い出します。松下さんにも技術開発として五分五分の立場で協力させて頂いた懐の深さにも感銘しました。それがなければFeRAMの技術は完成しなかったと今でも思います。

1956年に創業し、1962年、私が5歳の時テレビも普及しておらず真空管ラジオの時代に高純度物質を目指す会社を設立、そして、これからは半導体の時代とかじを取った先々代の宝地戸社長もディ-プイノベ-ションを感じていたような気もします。これからどのように技術が進歩していくのか私には見当もつきませんが、必ず若い方々が新たな道を切り開いて進歩していくことを強く望みます。

いろいろお世話になった松下の方々と、ドクタ-アロ-ジョさんとスイカを築き上げた皆様に心から感謝し、ご出版のお祝いとさせて頂きます。

                                    茂木隆行